Between individual and species

種もまた,連続的であり,変化し続ける。
川のように流れ,分岐する。
また,途切れて消えることもある。
個体としての生命はさまざまな機能を持つ部分が協調動作している。
さらに代謝を行うことによって細胞やエネルギーを循環させ
活動・回復・成長・繁殖を可能とし,生命のシステムを成立させている。
一つの細胞だけがとても長寿であるとか
とても強い力を発揮することは
システム全体からすると無意味であるどころか害にすらなりうる。
古い細胞が分解され,新しい細胞が合成される。
システム全体は維持されているが,その細胞は循環している
ということが重要である。
また,1個体の中で要素が循環しているのではなく
外部から何かを受け入れ,外部に何かを排出するということは
システムを開かれた系にするという意味がある。
・・・
生命としての個の寿命もまた有限であるが,
無数の個が遺伝子を受け継ぎながら続いていく。
その中の個は種の存続を実現する要素に過ぎない。
個が有限であることが,種の多様性や変容性を高め,
全体として存続する可能性を高めている。
循環し,代謝することでシステムの強度を高めているのだ。
この観点で言えば,
個と種の関係は,個の生体と個の存在の関係との間において
フラクタルな模様を描いていると言えるのではないだろうか。
種もまた有限であろう。
常に競争にさらされ,生き残りを賭けることを余儀なくされている。
種も絶滅の可能性を秘めながら変化し続けることで
より高次元の何かを生み出そうとしている。
人類は終着点ではなく,過程に過ぎない。
より高い知性を持った何かが創発されることは十分にあるだろう。